ツンデレ君の虜。【完】
それから私はブルーな気持ちで学校へと向かった。




高山も明るい話題をふってくれたりしたのだが…





私の心から岬は消えない。





『…なんでもねぇ』






そう。岬にとって私は何でもないのだ。




だから…あの時も私の横を通りすぎていったんだよね…







そうしていると学校に着いた。




高山は職員室に行かなければいけないようで下駄箱で別れた。





私は上履きに履き替えると教室へ向かった。




少し時間は早いようで教室にいる人は少なかった。





それに…雛も来てないようだ。





しかしもちろん…




「岬…」




岬はちゃんといた。




私の後ろの席にいつものように誰とも関わらずすわっていた。





一度目が合ったのだが…すぐにそらされてしまった。






「…」





複雑な想いを抱えながらも私は席へと向かう。





相変わらず岬は私から目をそむけたままだ。





私は支度をすませるとカバンを置きに廊下へ出る。





そしてため息をついた。





やっぱり…目も合わせてくれないんだ…





ショックを受けながらも私はまた重苦しい空気の教室に入った。





岬は机に伸ばした腕にあごを乗せ…




不満げそうな顔で今度はこちらを見ていた。




…すねてる?





そんなことを思いながらも…





真剣な瞳にドキドキを覚える私。




しかしすぐに、こんなところでドキドキしてる場合じゃないでしょと首をふった。





そして岬のほうに歩み寄ると




「な、何…?」





と少し震えた声で聞く私。





すると





「さっき電車でいた男、誰?」







そう、岬は聞くのだった。
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