ツンデレ君の虜。【完】
結局、私は一夜をこの寒い教室で過ごした。



凍りつきそうだったが…なんとか夜を越えることができた。




日もだいぶ出てきた頃。




私は体が温まるのを感じながら頭を働かせた。





まず私が考えたのは…高山の意図だ。





なぜ高山は…こんなことをしだしたのか。





「…わかんない…」





私はため息をついた。




元々訳の分からない高山だ。




考えたって答えが出るはずがない。







すると。



「おはよう。奈留。」




突然教室のドアが開いたかと思うと高山が入ってきた。




「何、のん気なこと言ってるの…?」




なんだか高山と会話を交わすのが恐ろしく感じた。




「出してよ。」




私が一言、言うと高山はうーんと考える素振りを見せて





「じゃあ、僕のこと好きって言ってくれたら出してもいいよ。」





そんなことを言い出すのだ。





「そんなの言うわけないじゃん…!!」





「じゃあ出れないね。残念。」





高山はそうはき捨てると私の元へ歩いてきた。




そして私のあごを持ち上げると



「それと忠告ね。ここであんまり生意気な口きくと…どうなっちゃうか、わかんないよ?」




そう低いトーンで言うとまたニコリと笑い




「さぁ。奈留は何日持つかなぁ?」




と弾むような声色で言うと近くにあった机の上にすわった。




そして手のひらに顎をのせ私を見つめる高山。




私はそんな高山をじとーっと見つめた。





「その顔。たまんなくいいね。もっと見せてよ?」





そう小バカにしたように言う高山だった。
< 43 / 80 >

この作品をシェア

pagetop