ツンデレ君の虜。【完】
あれから何度も岬から話しかけられたが…




「ほんとに何でもないよ!大丈夫…」



なんとか振り切った。



岬もしつこくは聞いて来ず、



「ふーん…」



とどこか疑うような目を向けながら去る。







そして時間は経って…授業後。



「委員会終わったら…またあそこな?」



高山にそうささやかれたすぐ後。



「奈留。」



いきなり声をかけられ、私は慌てて振り返った。



「岬…」



「なぁ。…お前、なんで今日は素直じゃないわけ?」



岬はそう私に問う。



その声音は…明らかに怒っていることが読み取れた。




「そ、そんなこと…」



「あのさぁ。その言葉、もう聞き飽きたんだけど。」



「でも本当に…!!」




「あのさぁ!お前、いつからそんな自分に嘘つくようになったわけ?!」



いきなり岬が怒鳴った。



私はびくっと体をちぢこませる。



「もし…それが槙谷の本当の姿なら…幻滅したよ。」



岬は冷たく言い放つと委員会の教室へと向かってしまった。





自分に嘘をつく…




「はは…これ、そういうことなんだ。」



私はうつむいた。



これは岬や雛に嘘をついてるんじゃなくて…



私にも嘘をついてるってことにつながるんだ。



………だったら。







「私、究極の嘘つきになろうかな。」








口からぽろりと出た言葉。



その言葉は私の中を巡り…ある答えを導き出した。
< 46 / 80 >

この作品をシェア

pagetop