ツンデレ君の虜。【完】
「……うざい。」



「えーでも関わらないでほしくはないんでしょ?」



「…ちっ。」



私は今、岬と一緒に移動教室をしている。



だって関わるな、なんて言われてないしね!!



「あ、そういえば岬って部活、何に入ってるの?」



「サッカー。」



「ええっ?!見えないんだけど…」



「よく言われるし。」



そうまたそっぽを向く岬。



「あ、じゃあ私は何部だとおも…」



「帰宅部。」



「早っ?!てかなんで知ってるの?!」



私がそう問うと



「……そうっぽいから。」



少し間があいて彼は答えた。



なんか妙な違和感を感じたが…



「そう?私、そんなに帰宅部感出てる?」



と私は素直に彼の言葉を受け入れた。









授業後。



「じゃあ部活頑張れ~!」



「あー…ほんとうるせぇ。」



彼はそう私に返し、部活集団の波にのまれていった。



「サッカー部かぁ…」



きっとそっちのほうでも誰にもなつかない猫を演じてるんだろうなぁ…



そう思い、私はひらめいた。



少し覗き見しちゃお…




そう思い至った私は校門を出て柵ごしに校庭のほうへ回った。



すると…




「あっ!いた…!!」



私はすぐに岬を見つけた。




まだ部活は始まってないらしく、岬はベンチにすわっていた。







…ある女の人と一緒に。






てっきり一人だと思ったのに…



柵越しでよくは見えないが、確かに彼は笑っていた。



その女の人と一緒に…




何か胸が痛むのを感じた。




私は首を振り




「一人じゃなかったんだし、よかった~」



そう自分に言い聞かせるようにつぶやくとその場を立ち去った。



やっと近づけたと思ってた彼との距離は…



まだこの柵のように大きな壁があったのかもしれない。
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