ツンデレ君の虜。【完】
…夜が明けて。






「行って来ます!!」




気持ちのいいほど暑い朝が来た。




私はパンを食べると重い荷物を持って学校へ向かった。





「奈留~!こっち!」




学校に着くと校門の前で手を振る雛の姿があった。




「おはよ~」





「おはよう。委員長さん。」





そう言い悪戯に笑う雛。





「もう…バカ。」





私は雛を小突いた。









「奈留サン。おはよ。」




いきなり後ろから聞こえる声。





びっくりして振り返るとそこにはいつもの笑顔で立っている高山。




…そして。





「お。岬くーん。おはよう~」




高山がいち早く見つけ…歩いてくる岬に声をかける。





岬を見た瞬間、胸が跳ねた。





岬は眠そうな目をこすりながら






「ん…」





と返事をする。




だが、相変わらず私は見もしてくれなかった。






「……」





私、こんなんで3日間楽しくキャンプなんて過ごせるんだろうか?





とてつもない不安に襲われた。










「では順番にバスに乗り込んでー」





担任の先生の指示が聞こえ、私たちは動き出す。





「奈留サン。バスの席、岬の隣にしてあげようか?」





そうこっそり聞いてくる高山に私は全力で首をふった。





「け、結構です!」





「えーいいチャンスじゃないの?」






チャンスというかそんなことされたら沈黙の地獄行きだわ!






「もうしょうがないな…あ、それと。」





高山はニコニコ笑顔でつぶやいた。






「僕への罪の償いも忘れないようにね~?」





そして高山は岬を連れてバスに乗り込んだ。





「やっぱり忘れてるわけないよねぇ…」





少し落胆しながら私もバスへ乗り込んだ。
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