ツンデレ君の虜。【完】
岬side



…人が密集するところは嫌いだ。




そう言って俺は今までも人の多いところにはあまり行かなかった。




だから…こうして今も建物の窓からキャンプファイヤーの様子を眺めている。





今はどうやらフォークダンスらしい。





…まぁ当然、俺はフォークダンスなんて浮ついたものやったことないが。





俺は窓からぼーっと見てるとふと目に入ったのは…









…槙谷。





槙谷は誰かを探しているみたいできょろきょろしていた。





どうせ高山のことを探してるんだろ?





そしてその高山は女に囲まれてへらへらしている。





俺はああいう奴が一番嫌いだ。





すると…高山は槙谷に手招きした。








「ったく、見せ付けるじゃねーかよ。」






俺は不満に思いながら二人を目で追った。





…が。





探していた高山に声をかけられたのに…





槙谷はとても不満そうな顔をした。





そう…今の俺みたいに。










「…?」





どうして槙谷がそんな表情をするのかわからなかった。





だってあいつ…告白したんだろ…?





それに最近の二人はどう見たって彼氏彼女のようだ。







…いや、もしかして。






「俺が勘違いしてるのか…?」





そう考えそんなはずはないと首をふる。













そうしているうちにフォークダンスは始まってしまった。





結局、槙谷は高山と踊っていた。





だがやっぱりどこか楽しくなさそうだった。





手をつないで踊る二人を見て。










___俺は初めてキャンプファイヤーに出なかったことを後悔した。
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