ツンデレ君の虜。【完】
たびたび会話を交わしていると火の舞は始まった。





くるくると回りだす赤い火。





すごく綺麗だった。





「わぁっ…!!」





私は時折、歓声を上げたりして火の舞を楽しんだ。





隣の岬は相変わらず表情は顔に出さないけど…





火の舞が終わった後、





「なかなかよかったんじゃない?」





と満足そうに言った。





私はそんな岬の言葉に





「うん!」





と頷いて笑って見せた。




こうして会話が交わせることが嬉しい。




そしてこうしている時間が楽しい。




私…岬といるとすごく幸せなんだよ。


















火の舞が終わるとキャンプファイヤーは終わった。




先生の指示でみんなバンガローへと帰る中。




私は先生の目を盗んで残っていた。




そして私は赤く、熱い火の近くまで来た。





燃え上がる火は私の顔を真っ赤に照らした。






そんな火を見上げながら私はつぶやいた。





「岬。私、岬が好きだよ__」





溢れる想いを口に出した。





まだ火は燃え上がっている。





言えた…





私は少しホッとした。





そしてバンガローへ戻ろうと火から遠ざかった時。














「どういうこと?」















そう問う疑問の声。




「…?!」




その声の主はすぐ目の前にいて。





「な、なんで…」





そう言う私の声は震えていた。





「ねぇ…今の言葉、どういうこと?槙谷はさ…」






彼はそう言うと私に一歩一歩と歩み寄ってきた。








「高山のことが好きなんじゃないの?」






頭が真っ白になった私は岬の問いに答えることができず、





立ちすくんでいた。
< 66 / 80 >

この作品をシェア

pagetop