ツンデレ君の虜。【完】
「槙谷…答えてよ。」




そう言う岬はいつもより気迫があって。




私の近くまで来るとぐいっと腕を引っ張った。





そのせいで私と岬の距離は詰まる。






「槙谷。君は…僕のことが好きなわけ?」






こんな形で知られるはずじゃなかったのに。





こんな風に自分の気持ちをさらすはずじゃなかったのに。





なんで…こんな…







「そうだよ…」




私は絞り出すような声で答えた。





すると今度は岬が呆然とした。





まるで信じられないとでも言うよう。





「でも、槙谷は高山が…」





「何の勘違いをしてるのかわかんないけど。私、高山のことなんて好きじゃないよ。」





「でも告白だって…!!」






その時、どうして岬が高山にこだわるのかわかった。







____あの時の偽りの告白、見られてたんだ。








「…アレは嘘だよ。私はずっと…岬しか好きじゃない。」





私はもうどうにでもなれと思ってすべてを打ち明けた。





「じゃあ今まで俺が思ってたことはやっぱり勘違い…?」





岬はぽつりとそうつぶやいた。





…それからしばらく沈黙が続き。








「あ…私、もう戻るね。」





一刻も早くこの場を去りたくてそう言ったのだが。













「行かせない。」





そう言い腕を強く引っ張る岬に止められた。




そのため…私はバランスを崩し岬の胸へ。




「ご、ごめん!岬…」




「槙谷。」






私が離れようとすると岬は私の頬をしっかりつかんだ。





そして…言うのだ。






「俺も槙谷が好きだよ。」






…なんて。
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