ココロの記憶
『そう言えば知らなかったね。
うん、いいよー』
笑顔で答え、ポケットから携帯を取り出す。
「サンキュ」
そう言った良輔くんの顔が、少しだけ赤くなった気がした。
その後ろで正志くん達は、にやにやと良輔くんの方を見ていた。
『えっと、私、教えればいい?』
「あ、うん」
パーソナルデータを開き、良輔くんに携帯を渡す。
私の携帯を受け取ると、良輔くんが真剣に、私のデータを自分の携帯に打ち込み始めた。
暫くすると良輔くんが私に携帯を返してきた。
「携帯、サンキュ」
『うん。多谷くんのも教えて?』
そう言いながら、新規の電話帳を開く。
「うん。あ…あとでメール送るよ」
『本当?じゃあメール待ってるね』
携帯を閉じ、ポケットに戻す。