ココロの記憶
そのせいで、くりんと可愛くなるはずだったマックスの目は、折れた痕がくっきり残る、みすぼらしい目になってしまった。
そんな私の様子を見て、愛花がにやりと笑う。
本当、不意打ち禁止だって…
『マーくんが…』
「いや、もうマックスどうでもいいから」
愛花が呆れたように言い、私の手からチョークを奪った。
「ラストの歌、告白だよね?」
『私に聞かないでよ』
くるりと黒板に背を向けて、もたれかかる。
「誰に言ってたのかなぁ?」
『だから私に聞かないでってば』
あからさまに一つ、大きな溜め息をついた。
「そういえば多谷くん、歌う前に携帯いじってたよね」
『そぉだっけ?』