ココロの記憶
『ありがと、ございます』
乱れた息を整えることも忘れ、親切な男子にお礼を言う。
「大丈夫?てか遅刻するし取りあえず、乗ろっか」
彼が優しく笑った。
二人でバスに乗り込み、一番後ろの席に座る。
さすがに本鈴ギリギリに着くだけあって、生徒の姿は少ない。
「少し落ち着いた?」
『あ、はい』
でもまだ、心臓はドキドキいってる。
はぁ、運動不足だなぁ…
「いつもこの時間?」
『いや…あの〜
今日寝坊して、電車1本乗り過ごしちゃったんです…』
なんだか寝坊したことが恥ずかしくて、バスの床に視線を落とす。
「なぁんだ、俺と一緒じゃん」
ははっと彼が笑う。