ココロの記憶
ちらっと彼の顔を見ると、無邪気な顔をして笑ってた。
ドキッ
その笑顔が何故か見れなくて、すぐに床に視線を戻した。
学校に着く迄の30分間、彼とは他愛もない話をして過ごした。
そしてわかったこと。
彼の名前…多谷良輔。
彼の学年…1年9組。
彼の部活…帰宅部。
彼の趣味…ギター。
そして、友達4人でバンドを組んでいるということ。
バスが学校前のバス停に着いたのは、本鈴2分前。
玄関で指定スリッパに履き替え、ダッシュで校内を駆ける。
「何か今日走ってばっかじゃん」
彼が笑い、私の手から鞄を奪い取った。