《大.落》♥ やらかしちまって!〜眠り姫★

「あれ? あげぱんも入ってる。ね、食べてもいい?」
嬉しそうにタッパーを開けた歩は、店の中をキョロキョロ見まわす一子に聞いた。


「あ、はい。どうぞ……あの」


あげぱんを口にして、もぐもぐしながら歩は答える。
「ん〜なに? あ、待合室に入ってて、コーヒー入れるから」


「あ、いえ。店を開ける時間も近いので……このまま帰ります」
結局入り口までしか入って来なかった一子。


ーーー歩に頼まれてたから来たのか……。

秀馬は、店の奥から出て行く一子をそっと見送った。

ーーーそうだよな。あいつは歩とデートするくらいの仲なんだから。


「秀馬さん、一子ちゃんが俺の為に天ぷらとあげぱん持ってきてくれたんすよ! それに劇ウマ! 食べます?」

大きな白いタッパーの中には、イモ天と
砂糖をまぶしたあげぱんが花柄のペーパーナプキンを仕切りに半分ずつ入っていた。


「俺は、いい。朝、食べたばかりだから」
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