《大.落》♥ やらかしちまって!〜眠り姫★
「そうすっか? 美味いのに」
あげぱんを1つ食べ終わり、指先についた砂糖をぺろって舐める歩。
「じゃ、裏に置いて来ま〜す。しかし、嬉しいっすよね〜。好きな子が俺の為に手作りしてくれるのとかって」
のろけているとしか思えない言い方だった。
「……ついでに口の周りも洗って来いよ。砂糖がついてるから」
「え、まじっすか? 急がないと撮影隊が来ちゃう感じっすね」
バタバタと慌てる歩。
スツールに腰掛けた秀馬は、ため息をついて眉間の辺りを親指と人さし指でつまんだ。
店の中には、バタバタ走る歩の足音が聞こえ、秀馬の鼻には天ぷらとあげぱんの匂いが残っていた。