《大.落》♥ やらかしちまって!〜眠り姫★
ーーーまさに13日の金曜日だな。
仕事を終えて、パソコンの画面を消した秀馬はバックルームへ行き私服に着替えた。
コートを羽織って火の元を確認し、施錠確認をしながら店の扉に近づいて行った。
扉近くの明かりを消して、外に出た秀馬は思わず「ひっ!」と声をあげていた。
目の前に瞳を大きく見開いて鼻の頭を赤くした一子が立っていた。
「お疲れさまです」
鼻をすする一子。
幸いにも雨はやんでいたが、暖かかった店の中とは違い外の物凄い寒風に秀馬は身震いした。
「…………お疲れ……っていうか、なんでここに?」
見おろした一子は、相変わらず、寒そうな襟元をしていた。
「ああ、歩ならもう帰ったぞ」
扉を閉め鍵をかける秀馬。
「いえ、歩さんに会いに来た訳ではありません。これを借りたままでいたので……」
トートバッグから紺色のマフラーを取り出す一子。