《大.落》♥ やらかしちまって!〜眠り姫★
「ああ、それか……」
前に一子の首に巻いてやった秀馬のマフラーだった。
「くしゅん」
襟元が相変わらず寒そうな上に、これ見よがしにクシャミまでしている一子。
ーーーこいつ、わざとか?
秀馬は、首を左右に倒して関節を鳴らした。
「寒いのに……。どうせならこのマフラー巻いてくればいいだろ?」
「いえ、返しにきたものを使う訳にはいきませんから」
ーーー妙なところで、律儀だな。
渡されたマフラーを秀馬は、一子の首に巻いてやった。
「あの、これ」
「やるよ。あんたに」
「え、そういう訳には……」
外そうとする一子の手を柔らかくおさえた。
ーーーつめたっ! また、手袋なしか……。
「俺は平気だ。見ろよ」
秀馬は、自分の首の辺りを指差した。