《大.落》♥ やらかしちまって!〜眠り姫★
秀馬の首には、ブラックのマフラーが巻かれていた。
「マフラーなら腐るほどあるから。家にもたくさんある。ひとつくらい、あんたにやってもなんの問題もない」
「はあ…でも」
ーーー全く困った女だ。
「俺は寒いのが苦手なんだ。突っ立ってないでそろそろ帰らないか?」
「あ、はい。すみません」
ちょこちょこと後ろをついてくる一子。
一子の方を少しだけ振り返り
「なあ、あんた……歩と……」
秀馬は、なんて続けるべきか言葉を選んでいた。
「え? 」
「……いや、なんでもない」
秀馬は、歩に関することを一子に尋ねるを止めにした。
ーーー聞いたところで何かが変わる訳じゃないな。