《大.落》♥ やらかしちまって!〜眠り姫★
街灯で濡れたアスファルトが鈍い光を放っていた。それを眺めながら秀馬と一子は、ほぼ前後一列になって歩いていた。
「あの! 真田さん、明日何時頃うちに来られます?」
ーーー明日? ああ、ヘアカットを教える日だったな。
「それ、悪いんだけど仕事が入ってね。歩に代わりを頼んだんだ。歩も腕は確かだから」言いながら、後ろを振り返るとだいぶ遠くに一子が突っ立っている。
ーーーなんでだ? なんで、あいつは歩いて来ないんだ?
秀馬は、戻っていき突っ立ったままの一子の前に立った。
「あんた、電池でも切れたか? どうかしたのか?」
一子を眺める秀馬。
「いえ、……あのなんだか急に力が出なくなって……」
そう呟く一子の体が、ガクンと崩れ落ちた。
「おい! なんだ? 一体どうしたんだよ」一子を抱きとめながら、困惑し慌てる秀馬。