《大.落》♥ やらかしちまって!〜眠り姫★
◎ゆめ
◎ ゆめ
夢の中で、一子は眠っていた。
夢の中でも眠るくらいに一子は寝てばかりいる。
外人みたいに沢山の枕を頭の下に置いていた。瞼を開けると、草原が広がり太陽の眩しさに目を細める。
手をかざすと、誰かのシルエットがみえてくる。
「誰?」
逆光で顔が良く見えないが、近くにいるその人に一子は手を伸ばす。
その人の顔が近づいてきて、一子の胸はドキドキしていた。
ーーーキスされるの?
瞼を閉じて、その瞬間を待つ。
待つ……待つ。
ーーーあれ? 来ない。
そっと瞼を開けると、眉間に皺を寄せた真田さんの顔が見えた。
「やっと、起きたか……一体何べん起こしたと? あ!あんた!ヨダレ出てる!」
急に背中を押されるようにして、体を起こされる一子。
「ヨダレ?」
急いで口元を拭う。
「あ、本当だ」
手で触れた口の端が少し濡れていた。
「本当だじゃないだろ。あー全く」
秀馬は、ティッシュで腿の辺りを拭いた。
「あの、もしかして……私、膝枕してもらってました?」
ちらっと一子を見る秀馬。
「膝枕とかいうな。ただ、あんたの頭を置く場所がなくて邪魔だから腿に乗せただけだ」
「はあ……あのスミマセン。本当に」
ーーーいつも真田さんには迷惑ばかりかけてる。
体を小さくする一子。
ーーー寝てばかりの女なんて。恥ずかしいよぉ。
静かな車内に一子の腹の音が「ぐぅ〜〜」と思いの外、大きく響いた。
「……もう少しで着く。頼むから我慢してくれ」
「はい……ごめんなさい」
一子は、これ以上無理というほどに首をすくめた。