《大.落》♥ やらかしちまって!〜眠り姫★

「わらじ……足ですね。わらじを見たことが無いので、足のサイズですよね?そうですね〜そういう意味なら、わらじくらいですかね〜」
昨日、家で食べたハンバーグを思い出しながら一子は答えた。


「あんた、すごいな」
腕組みして秀馬は、一子を見ている。


「えっと……すごいですか? 食べる量が多いだけです」


「いや、色々すごいよ」
やけに感心したような感じで、首を縦に動かす秀馬。


話してばかりで、一向に食べ始めない秀馬を一子は不思議に思っていた。
「あの食べないんですか?」

「ああ、あんたが食べてくれないか。旨そうに食べるから……あんた」
箸を完全に置いてテーブルに肘をつき、掌に顎をのせ一子を眺める秀馬。

ーーー初めから食べる気なかったんじゃ?

初めこそ秀馬の視線を気にしていたが、途中から食べることに夢中になっている一子。ペロリと秀馬が注文した分まで綺麗に平らげていた。


「……あんたみたいに、旨そうに沢山食べる女は、テレビ以外で初めてみた」


ーーーテレビ? 大食いチャンピオンとかのことを言ってるんだろうか。だとしたら、恥ずかしいなぁ〜私。


「なんか真田さんには、変な所ばかり見せて、すみません」
ぺこりて頭を下げてから、一子は隣のテーブルを眺めた。


作業服着た男性が、美味しそうにラーメンをずずっとすする。

「あんた、まさかさ……あれも食べたいとか思ってる?」
唖然とした表情の秀馬に一子は、慌てた。
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