《大.落》♥ やらかしちまって!〜眠り姫★
結局、店で食べた分もお土産の餃子等の代金も全て秀馬が払ってくれた。
店を出て、大量の餃子やニラレバの入ったビニール袋を両手に下げている秀馬に一子はペコペコしながらお礼を言った。
「ご馳走様でした。なんかお土産まですみません。本当に……ありがとうございます!」
頭を下げたままの一子。
「どういたしまして。さ、送るから」
秀馬は道路の端に出てタクシーを拾うためにビニール袋を左手に2つ持ち、空いた右手を上げようとしていた。
上げようとする秀馬の右手を急いで、一子が掴んで下ろした。
「なんだ?」
怪訝そうに一子に掴まれた手を見つめる秀馬。
一子は、咄嗟に掴んでしまった手をパッと離した。
「あっ、すみません! あの…まだ電車もありますし」
ーーーこれ以上迷惑かけられない。
「あの、ありがとうございます! ご馳走様でした。あと、マフラーもありがとうございます! さようなら」
頭を下げて、秀馬が持つビニール袋を2つ一子が両手に持った。
背の低い一子が持つと、地面につきそうなビニール袋。一子は、腕を少し曲げてビニール袋を持ち、くるりと向きを変えて歩き出した。
「おい、あんた、どこへ行くんだ? 駅なら反対方向だ」
何歩か進んだ一子を秀馬が呼び止めた。
ーーーやだ! 恥ずかしい!
くるりと向きを変え、バタバタと早足で恥ずかしそうに俯いて歩いてきた一子。そんな一子の腕をガシッと秀馬が掴んだ。