《大.落》♥ やらかしちまって!〜眠り姫★
腕を掴まれて、顔を上げた一子。
「……赤い」
珍しいものでも見るみたいに、じっと見つめてきた秀馬に一子は、すっかりたじろいでいた。
ーーーどうしよう。恥ずかしい。恥ずかしすぎる。
黙ったままの一子の手からビニール袋を取り上げた秀馬。左手にビニール袋を全て持ち、一子の片方の掌を見つめた。
「少し持っただけで、指も真っ赤だ」
「平気です。買い物で重い荷物なんか慣れてますから」
また、一子が言いながらビニール袋に手をかける。
「やめろ。俺が慣れてない」
「え?」
「夜、大荷物持たせた女をひとりで帰らせるなんて……俺が無理だ」
「あ、えーと……でも迷惑かけられないし」
ーーー困ったな。真田さんが優しいのはわかってる。でも、これ以上迷惑かけられないのに。