《大.落》♥ やらかしちまって!〜眠り姫★
◎はさみ
◎はさみ
「はじめまして〜」
小学二年生の末子の目線に合わせて笑顔をみせた歩。
歩の顔を見たまま末子な微動だにしなかった。
そんな末子の態度に慌てる一子が返事をせかす。
「末子、挨拶は?」
古い平屋建て住宅の村山家。村山家には無駄に広い土間が存在する。土間というのは、外と中の間に位置する場所であり言わば広い玄関と言える。だが、人数が多い村山家の家族にとって土間は部屋に改装すればいいのにとも思える無用な場所だ。
村山家では、その無用な土間で髪を切る習わしになっていた。一子も不二子も三津子もみんな幼い頃は土間で母に髪を切ってもらったものだ。
歩が一子にカットを教える今日も、当然髪を切る場所は土間だ。
切った髪をほうきで掃除しやすいので、いつもは無駄に思える土間がこの時ばかりは重宝がられる。
歩が持参したカットクロスをつけ木製椅子に座る末子。明らかにムスッとした表情で一子をチラッと見てから、歩に視線を合わせ、ようやく口を開いた。
「子供みたいな言葉使いはやめてください。もう二年生なので」
「末子。なにイラついてんの?」土間からの居間への上り口にしゃがんでいる三津子。末子が髪を切る様子を見ようと待っていたのだ。
「だって! 不二子ちゃんの話の人と全然違うんだもん」末子は、手にしていたファッション雑誌のページを開いて三津子にみせる。
「だからっ! 言ったでしょ……真田さんは仕事で今日は来られないの。」
諭すように末子に言いながら、歩に「すみません。歩さん」と謝る一子。
「あ! マジで載ってんだぁ。あのおにいさん、すごくない?」
三津子はサンダルを履き、土間に下りて末子から受け取った雑誌を一子にも見せようとする。
「もう! 末子! 昨日も話したよね? 無理な事を言わないの!」
一子は雑誌を見もせずに三津子から取り上げ背中の後ろに隠した。末子の前に行き、じぃっと末子の目を見る一子。
「末子、二年生なんだから……わかるよね?」
「いやよ! カリスマ美容師に切ってもらうんだって、友達に自慢しちゃったもん!」
カットクロスを外し立ち上がる末子。
「はじめまして〜」
小学二年生の末子の目線に合わせて笑顔をみせた歩。
歩の顔を見たまま末子な微動だにしなかった。
そんな末子の態度に慌てる一子が返事をせかす。
「末子、挨拶は?」
古い平屋建て住宅の村山家。村山家には無駄に広い土間が存在する。土間というのは、外と中の間に位置する場所であり言わば広い玄関と言える。だが、人数が多い村山家の家族にとって土間は部屋に改装すればいいのにとも思える無用な場所だ。
村山家では、その無用な土間で髪を切る習わしになっていた。一子も不二子も三津子もみんな幼い頃は土間で母に髪を切ってもらったものだ。
歩が一子にカットを教える今日も、当然髪を切る場所は土間だ。
切った髪をほうきで掃除しやすいので、いつもは無駄に思える土間がこの時ばかりは重宝がられる。
歩が持参したカットクロスをつけ木製椅子に座る末子。明らかにムスッとした表情で一子をチラッと見てから、歩に視線を合わせ、ようやく口を開いた。
「子供みたいな言葉使いはやめてください。もう二年生なので」
「末子。なにイラついてんの?」土間からの居間への上り口にしゃがんでいる三津子。末子が髪を切る様子を見ようと待っていたのだ。
「だって! 不二子ちゃんの話の人と全然違うんだもん」末子は、手にしていたファッション雑誌のページを開いて三津子にみせる。
「だからっ! 言ったでしょ……真田さんは仕事で今日は来られないの。」
諭すように末子に言いながら、歩に「すみません。歩さん」と謝る一子。
「あ! マジで載ってんだぁ。あのおにいさん、すごくない?」
三津子はサンダルを履き、土間に下りて末子から受け取った雑誌を一子にも見せようとする。
「もう! 末子! 昨日も話したよね? 無理な事を言わないの!」
一子は雑誌を見もせずに三津子から取り上げ背中の後ろに隠した。末子の前に行き、じぃっと末子の目を見る一子。
「末子、二年生なんだから……わかるよね?」
「いやよ! カリスマ美容師に切ってもらうんだって、友達に自慢しちゃったもん!」
カットクロスを外し立ち上がる末子。