《大.落》♥ やらかしちまって!〜眠り姫★
「末子。歩さんだって、トップスタイリストだから凄いのよ」
良くわからないくせに、一子は秀馬から聞いていた歩の肩書きを口にした。
「でも! カリスマじゃないじゃん」
末子は、玄関の扉をガラガラっと開けて外へ出て行ってしまった。
「あ、待ちなさいよ! 末子!」
追いかけようとする一子の腕を掴んだ三津子。
「あたしが行くからさ、一子姉」
「あ、う…ん。ごめん、よろしくね」
三津子も出て行くと、村山家には一子と歩の2人だけになった。
「……参ったなぁ。はははっ」
虚しい歩の笑い方に一子は、胸を痛めた。
「本当にごめんなさい。私が真田さんが来るよって言わなければ……ごめんなさい」
深々と頭を下げる一子。
「いーよ。謝んなくてもさ」
歩が一子の髪をくしゃっとした。
「でも、せっかく来てもらったのに……申し訳なくて」
「いーよ。ほんとにさ〜俺、一子ちゃんに会えただけで嬉しいんだから」
顔を上げた一子にニッコリ笑ってみせる歩。