《大.落》♥ やらかしちまって!〜眠り姫★
「似合うね〜。紺色も。一子ちゃんには明るい色が似合うと思ってたけどさ〜……」
向かい合ったままマフラーから手を離して、一子の手の指先を少しだけ握る歩。
「冷たいね〜、大丈夫? 寒くない?」
一子を心配そうに見つめ、冷たい両方の指先を合わせ手で覆う歩。
「大丈夫です。本当に。いつも、かじかんでるから」
「一子ちゃん、俺さ」
「はい?」
じっと黙ったまま見つめられて、さすがの天然一子もドキドキせずにはいられなかった、
ーーー歩さん、見つめすぎだよ。緊張しちゃう。
「昼間に言ったこと、覚えてる?」
「えっと……」
一子は、必死に歩が昼間に言ったことを思い出そうとしていた。
ーーーもしかして、コタツで言ってた言葉かな?
歩の言っていた意味ありげな言葉に思い当たったとき、歩が一子の手を覆う手にぎゅっと力を入れた。
「ホントにマジだから」
「あっ…」
左手で体を急に力強く抱き寄せられ、一子はいつの間にか歩の腕の中にいた。