《大.落》♥ やらかしちまって!〜眠り姫★
★しゃしん
★しゃしん
「出てますよ。秀馬さん!」
朝からドタバタとうるさく秀馬のところへやってきた歩。
店の中にある観葉植物に水をやりながら秀馬は、顔をしかめた。
「おはよう。歩、まず挨拶しろって」
「おはようございます。コレ!」
歩が雑誌を広げて見せた。
ちらっと雑誌の写真を見ても、水やりの手を休めない秀馬。
「……載せるって言ってたからな」
月曜日発売の写真週刊誌の見開きページには、デカデカと秀馬と麻耶がハグしている写真が載っていた。
「夜の密会。熱い抱擁って……新谷麻耶
、今度のお相手はイケメンカリスマ美容師の」「読まなくてもいいだろ」
秀馬は、無遠慮に雑誌の文章を読み始める歩が一刻も早く口を閉じてくれるように願った。
「すいません。でも、秀馬さん付き合ってる人いたんっすね。新谷麻耶って言ったらフランスでも活躍してる女優でしょう? やっぱり、秀馬さんはハイレベルな女としか付き合わないんすね〜」
感心するように、自分でいいながら頷く歩。
「その雑誌は、わかってるだろうな? 店に置くなよ?」
話は終わったとでも言いたげに、中断した水やりを続ける秀馬。
「わかってますって。でも、新谷麻耶って本物は、どんななんすか? 顔も小さいし実際見ると、やっぱ超美形なんすか?」歩が写真をまた見せながら言ってくる。歩には、秀馬のこれ以上その話題に触れるなというオーラが全く見えないようだ。
ため息をついてから、秀馬は、雑誌を眺めて写真を指差しながら言う。
「暗くて写りが悪いが、実際は、もっと美人だ」
「やっぱり! でしょうね〜。世界的に活躍出来る女優ですもんね〜」
再び写真を食い入るように見る歩。