《大.落》♥ やらかしちまって!〜眠り姫★
ポケットに入れて置いたスマホが鳴り、画面表示に川崎支店、店長の松田耕三のあだ名、マッツンと出ていた。
「マッツン、どうした?」
用件の検討は、ついていた。
「……悪かったな。写真……お前に迷惑かけて」
沈んだ声のマッツン。
「謝るなよ。マッツンらしくもない」
秀馬は、スツールに腰かけながら、さっき水やりした観葉植物の葉を触った。
「俺たちの問題なのにな。お前まで巻き込んで」
「気にするな。この前電話くれただろ? それも彼女のことか?」
店のスタッフが掃除しているのを見ながら秀馬は、スツールからおりて裏口へと向かった。
裏口の扉を開けると、寒い風が吹き込んでくる。外へ出た秀馬は、辺りを気にして声のトーンを下げた。
「彼女は、お前に会いに来たんだろ?」
「ああ。そうみたいだ……何考えてるんだか。今が一番大事な時なのに」
怒っているようなマッツンの声。
「……何が?」
「何がって決まってるだろ。仕事だよ。今、へんな噂が立ってみろ。せっかくここまで…」
マッツンの言葉を遮るように、秀馬が話し始めた。
「彼女が今一番大事に思ってるのは、仕事だと思うのか?」