《大.落》♥ やらかしちまって!〜眠り姫★
「秀馬さん、約束っすよ」
レンジが再び音を響かせた。
「約束……な」
「良かった〜。これで安心してカツカレーが食えますよぉ」
レンジの扉を開けて、容器を取り出す歩。
ーーー約束か……。
マッツンには、会いたいなら会えばいい。好きなら会えばいいと偉そうに言えた。親友とはいえ所詮他人事だからだ。
自分のことに置き換えてみれば、好きだからって気持ちだけで、そうやすやすとは会えないだろう。
まして、後輩に約束と言われたら、動き始めた自分の気持ちは、完全に封じ込めるしか無い。
ーーーそれに、まだ今なら間に合う気がする。自分の気持ちをセーブ出来る。いや、初めから異性として見たことはない。変わった女だから、気になった。それだけだ。
秀馬は、空になったカツカレーの容器を水でゆすいでからビニール袋に入れた。
首を傾けても、うまく鳴らせない首の関節。首をぐるりと回してみる。
なぜか首周りから肩にかけて、ひどい重みを感じて、首の根元を掌を使いもみほぐしてみたが、全く軽くならなかった。