《大.落》♥ やらかしちまって!〜眠り姫★
「ただいま」
悪いことをしていた訳でもないのに、何故か小さな声になっていた。
「一子姉、おかえり。お腹空いたでしょ? 不二子ちゃんが麻婆豆腐を作ってくれたの。御飯もたくさんあるよ」
玄関に出てきた末子。
「おかえりぃ。でもね、ひき肉がスッゴイ少しなの。ほとんどトーフってね〜」
三津子の声がどこからかしてきた。
末子の後ろに姪の愛を抱き抱えた不二子が顔を出す。
この狭くて古い一軒家には、結婚した不二子の家族も住んでいる。六畳間を一つ、不二子の家族が占領していた。
もう一つは、両親の部屋で、母と父が使う。母は、心臓が弱く入退院を繰り返しているし、父は長距離のトラック運転手だから、あまり家に帰って来ない。
2LDKという間取りなおかげで、一子と末子には自分の部屋というものが無い。
だから、実質その部屋は一子と末子が使うことが多かった。
「一子姉、明日お母さん退院でしょ? 私が迎えに行ってくるね」