《大.落》♥ やらかしちまって!〜眠り姫★

一子は、風呂場で大きなため息をついていた。

湯船に浸かり、ぬるくなったお湯を沸かしなおしていた。

肩に掌でお湯をかけ、腕をさすり手の甲を見つめた。


ーーー結局、かさかさだし。ネイルもしてないや。女らしくないよなぁ。私って。


ふと、歩が見せてくれた雑誌の写真を思い出していた。


ーーーあの女性は……きっと綺麗な手をしてるんだろうなぁ。こんなかさかさじゃなくて。もちろんネイルもしてるだろうし。顔も肌もきっと全てが美しいんだろうなぁ。

そういう人が好きなんだよね、きっと。真田さんだけじゃなくて世の中の人みんな綺麗な女性が好きに決まってるよ。


お湯をバシャバシャと顔にかけた。手を伸ばしてメイク落としの容器を手繰り寄せ、掌に2回プッシュした。


ーーーいい加減、忘れなきゃ。全て洗い流してしまわなきゃ。雲の上に、私はどうしたって登る手立てがないんだから……
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