《大.落》♥ やらかしちまって!〜眠り姫★
「さあ、入って入って!」
村山家に押し込まれた秀馬。
ーーー中に入ったのは初めてだな。
今どき珍しい作りの家に感心しながら、秀馬は靴を脱いで部屋へ上がった。
「失礼します」
「もうウケんだけど〜堅苦しいじゃん! 大丈夫だよ〜気を使わないで〜。親、今いないから」三津子が先に歩き、秀馬をゲラゲラ笑う。
「母は、入院が長引いてしまったのでいません。父は、仕事で現在長野です」
説明不足な姉を補うように末子が説明を加えた。
「あ、なるほどな……」
「こっち、こっち」
三津子が居間を通り越した襖の前で止まった。
「この部屋だから、よろしくね。おにいさん」
「いや、そう言われても……」
秀馬は、透視でもするみたいにじっと襖を見つめた。