《大.落》♥ やらかしちまって!〜眠り姫★
★しんじつ


★しんじつ


aubuのクリスマスパーティーは、22日の日曜日に開かれる。

例年、パーティーの日は、イブには重ならないようになっている。
オーナーである秀馬が、イブはスタッフのみんなも個人的に用事があるだろうからと24日をあえて外して設定されているからだ。




「秀馬さん、どれが一番可愛いですかね?」

20日、金曜日の仕事終わりにバックルームでスマホの画面を見せてくる歩。


画面には、女性ものの手袋の写真がズラリと並んでいた。

「なんだ、これは」


「プレゼントっす。一子ちゃんに。彼女の手が〜いつも冷たいっすから、パーティーの日にプレゼントして、イブに使ってもらっちゃおっかな〜って」

歩の言葉に、異常に反応してしまいそうになった自分をなんとか押し殺しながら素知らぬふりして尋ねてみた。
「…イブ?」

「まあ、彼女に予定があったら無理なんすけどね〜」

照れ笑いする歩の嬉しそうな横顔を見ていたら、結局何も言い出せなかった。
「そこまで考えてるのか……」


「言いましたよね〜俺、本気っすから。無い頭捻って考えてんすよねー。パーティーで告って、プレゼント渡し〜の! イブデートの約束とりつけ〜の! Hotelに予約しーの……あ〜楽しみっすよ〜俺」


ーーーHotel! まさか、アレと?!

「どうかしたんすか?」
怪訝そうに秀馬を見上げる歩。

秀馬は、ハッとして自分の後ろに、倒れた椅子を見おろした。
自分でも知らないうちに、やらかしていたらしい。勢いよく立ち上がり、どうやら椅子まで倒していたようだ。


「いや……」


ーーー歩がアレとどうなろうが……俺には関係ない。全くこれっぽっちも関係ない!

秀馬は、首の関節を鳴らしてから倒れた椅子を起こした。


< 196 / 342 >

この作品をシェア

pagetop