《大.落》♥ やらかしちまって!〜眠り姫★
「でも、約束は破れませんから……歩さんと行きます」
フォークをテーブルに置いて、一子は秀馬を見た。
「あんたは、そういうだろうって予想はしてたけど………実際……まいってる」
秀馬は、首に手を当て少しもみほぐすような感じで手を動かしている。
「え? どういうことですか?」
首をもみほぐすのをやめて、手を下ろす秀馬。
「あんたが他の男と一緒にいるのを見て、耐えられるかどうか……」
秀馬の口から出てくる言葉が全て嘘みたいに甘い。ものすごく甘すぎて胸がキュンとなった。
ーーー何、それ。驚くような言葉じゃない? 本当にそんなこと思ってるの?
「あんたは、俺が嫌い?」
ちょっと、首傾けて可愛い感じに聞かれて又、驚いて1ミリくらい跳ねた一子。
「!」
また、キュンとなった。
ーーー真田さんを嫌い? そんな訳ない。
さっきだって密かに秀馬を見ながら恋人気分味わいたいと思っていたのだ。
「どうなんだ?」
「嫌いじゃありません。お世話になってばかりだし」
ーーー本当は、お世話になってるからだけじゃない。素敵な真田さんは常に憧れの存在だ。
「じゃあ、好き?」
こんな風にイケメンな秀馬に見つめられて「好きか?」と聞かれたら、絶対に平常心じゃいられない。
緊張している上に甘く告白めいたことを沢山言われて、一体、どうすればいいのかわからなくなっていた。
「! そんなの………………
いえません!」
「恥かしいのか? あんなざんぎり頭で外を歩けるくらい肝が座ってるのに、好きは言えないんだ?」
テーブルに身を乗り出してくる秀馬。
「強制されて言いたくないです。自分が言いたい時に言います」
ーーー本当は、言えないだけだ。恥かしい。それにまだ、勇気が出ない。