《大.落》♥ やらかしちまって!〜眠り姫★
「全く、何してるんだ? 会計は済ませたからな」
秀馬がいつまでもアタフタしている一子の所へきて腕をとる。
やっと店から出て、一子は唇を尖らせて秀馬を見上げた。
「何してるって……あんなことされて……平常心でいられないもの」
「あんなこと?」
「キス……してきたじゃないですか」
ーーー事件だ。私にしたら、すごい事件。キスだ。何年ぶりだ?男の人とキスをした。あ、もちろん、女の人ともないが。
「この前も歩としてただろ? 」
「歩さんは、おでこにです。口にじゃないです」
「あれ? おでこだったんだ?」
「そうですよ」
急に顔をほころばせ凄く嬉しそうに笑いだす秀馬。
「はははっ! そいつは、良かった」
「良かった?」
「良かっただろ。好きな女が他の奴とキスしてたって思って、かなり凹んでたんだから」
「好きな女?!」
驚いて跳ねるように後ろに下がる一子。
ーーーす、好きな女〜〜?!