《大.落》♥ やらかしちまって!〜眠り姫★
「驚くのか? 俺は、あんたのそのリアクションに驚いた。好きでもない女に俺はキスしない」
「…………」
「好きだから歩に対抗して、キスした」
「………そんなの……えっと? えー?」
信じられない一子は、言葉を失くすばかりだった。
「時間ないぞ。家に帰るのか、待ち合わせるのか、歩に電話した方がいい」
腕時計を見て、一子に向かい少しだけ腰を屈めた。
秀馬は、一子の耳元に唇を寄せる。
「今日は、先約の歩に譲るけど、この先は譲らないから……」
「じゃ、会場でな」
ぼーっとしている一子に手を上げて見せる秀馬。
ーーー真田さん笑ってる。これ、現実かなぁ?だとすれば……かなり夢っぽい現実だけど。
一子は、人の影に見えなくなっていく秀馬を背のびして見届けていた。