《大.落》♥ やらかしちまって!〜眠り姫★
◎ぱーてぃー
◎ぱーてぃー
歩に待ち合わせを品川駅に変更してもらった。
「一子ちゃん、待った? 俺のが早く着くつもりだったのにさあ、ごめんね〜」
約束の時間より20分も早く来た歩が両手を合わせて頭を下げた。
「ううん! 全然時間前だし。私こそ、待ち合わせ場所を変更してごめんなさい」
「大丈夫だよ〜。一子ちゃんのいる所なら俺、どこへでも行くから……じゃあ、行きますか!」
手を差し出してくる歩。
それが手を繋ごうって意味だとわかる。わかるけど、躊躇していた。
「行こっ!」
しびれを切らし、歩が一子の手を掴んだ。
「一子ちゃん、今日の服かーわいーね。俺、こういうふわふわした服好きなんだよね〜」
歩が繋いでいない方の手で一子のスヌードを触る。
「これも一子ちゃんに似合ってる。ふわふわだもんね〜」
向かい合って、ふわふわだと身につけているものを触れられるのは、気恥ずかしくて視線を下へ向けた。
「一子ちゃん、今日はありがとうございます! 俺とパーティーに出てくれて」
下へ向けた一子の視線の範囲内に入ろうと、しゃがんで一子を見上げる歩。
「歩さん…あの、パーティーは同伴者がいなくても出席できるって聞きました」
視線を合わせて、秀馬に聞いてから気になっていたことを歩に尋ねてみた。
「あ、聞いちゃったのかな?……それでか。なんか一子ちゃん冷たい感じなのか〜。ごめん! どうしても一子ちゃんと行きたくて、誘いたくて嘘ついた」
潔く頭を下げる歩。
「ごめんね」
もう一度、頭を下げたまま謝る歩。
「もう、いいです。……歩さん、もう嘘ついてること無いですか?」
顔を上げた歩は、一子の両手を握り切なそうな顔をしてみせる。
「信じてよ。もう、他には嘘ついてないから! 絶対だから!」
ーーー歩さんがもう嘘をついてないなら、真田さんに好きな人がいるって話は本当なの?
でも、真田さんに、さっき好きなのは私だ…みたいなことを言われた気がするけど。
「もう、俺とはパーティー行きたくない?」
一子が他のことを考えていると、歩が切なげに聞いてきた。