《大.落》♥ やらかしちまって!〜眠り姫★
「一子ちゃん、取りすぎじゃない? 食べられる?」
皿をてんこ盛りにしている一子を歩が心配そうに見ていた。
「大丈夫です。食べるしか出来ない女ですから」
ガツガツ食べる一子を呆気にとられて眺める歩。
「歩さん、向こうにケーキがありましたから、歩さんの分も取って来ますね?」
「あ、うん……ありがとう」
ケーキのたくさん乗ったテーブルに行くと、一子は、かたっぱしから皿に綺麗に並べて盛りつける。
ーーー綺麗に並べないと全部乗らないわ。
「わー綺麗な盛り付け。隙間ないな」
自分の盛り付け方を褒められたと思った一子は、気をよくして振り向いた。
「でしょう? 全部乗せたくて……」
振り返って皿を落としそうになった。
秀馬が1人で立っていたのだ。落としそうになった一子の持っていた皿を取り上げ、ため息をついている。
「危ないなぁ。乗せすぎだろ。どう考えても満員だ。次の皿に乗せてやれよ」
満員電車みたいな例え方をする秀馬。
「……いいんです。満杯にして2皿を持って歩くのは危険なので1皿にしたいんです。それに、これは私だけの分じゃないので」
なぜか秀馬にぷりぷりして怒った口調になってしまう一子。
「俺の分?」
「まさか、歩さんの分です」
秀馬は、眉毛を上げてわざとらしく驚いたようなポーズをしてから、やがて、ふむふむと頷く。
「じゃ、あんたの分でいいや。あ〜ん」
秀馬が口を開いて見せた。
「えっ! あ〜んって……まさか」
周りをキョロキョロした一子は恥ずかしさでいっぱいになっていた。
「ここ、端っこのテーブルだし、みんなまだデザートまで取りに来ないから、大丈夫」
口を開けてみせる秀馬。