《大.落》♥ やらかしちまって!〜眠り姫★

「あの、一体どれを入れたらいいんですか?」

口を開いている秀馬に真面目に尋ねる一子。

ーーーケーキの種類がたくさんあるから、真田さんが何を食べたいのかわからないんだけど。


「じゃ、そこのマーブルシフォンで」

急いで一子は、マーブルシフォンを皿に乗せてみた。

ーーーあ、フォークがない。


「どうした? まだ?」
待ちくたびれて口を閉じる秀馬。


「フォークが見当たらなくて……」

「あるじゃん? それ」

秀馬は、一子の持っているフォークを指差した。


「これは、私のです」


「じゃあ、それで」
また、口を開いてしまう秀馬。


「私のだと、その……風邪とかうつるかもしれないし」
自分のフォークを使って良いものかと悩む一子。

「あんた、風邪なの?」

「いえ。違いますけど……」


「なら、大丈夫だ。早く」


「でも、あの私が使っていたものだから……汚いですし」

「汚い? そんな風に思わない。むしろ、あんたのフォークがいい。こんなことガキみたいでいいたくないけど、間接キスとか言うだろ? 中学生なら喜んでる所だ」
子供じみたことを言うのが少し恥ずかしいのか、酒に酔ったせいなのか顔の赤い秀馬。
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