《大.落》♥ やらかしちまって!〜眠り姫★
パーティーも終盤。
ビンゴ大会が始まり、少し元気を取り戻した歩。
「やった! リーチだ! 一子ちゃん、ちょっと出てくるね」
前に出ていく歩を頷いて見ていた。
よそ見をしていたので、誰かが近くにきたのも気がついていなかった。
一子の手にしていたエクレアは、横を通り過ぎようとしていた人の丁度胸元に当たってしまっていた。
「わっ! ご! ごめんなさい!」
ブラックなフォーマルドレスを完璧に着こなした女性の胸元にエクレアの外側についたチョコがべったりとついてしまっていた。
ーーーふ! 拭くもの! 何かあったっけ?
自分のバッグを急いであさる一子。
「ごめんなさい。あの拭くものを探してますから!少々お待ちを!」
焦りまくるせいで、一子の手は震えますます拭くものを探せなかった。
「大丈夫よ。この人のチーフで拭くから」
しっとりと落ち着いた女性の声は、別段怒っているようでは無かった。
ーーーチーフで?
顔を上げ女性の顔を見た一子は、目を更に大きくして身を硬直させていた。