《大.落》♥ やらかしちまって!〜眠り姫★
「一子ちゃん、嬉しいよ〜。すぐに使ってくれてさぁ」
思った通り、喜んだ歩。
ーーー良かった。笑顔が見られて。
「帰りましょ。歩さん」
歩の腕をとり一子は、歩き出していく。
ーーー振り返らない。真田さんのいる場所は私とは違う場所だから。
チラホラと降り出した粉雪。
一子は、歩のくれた手袋をした掌を空へ向けて広げた。
白い雪が温かそうなモヘアの白い手袋の細い毛糸に落ちていく。
ふわふわした毛糸に埋もれるみたいに落ちていく雪を一子は歩きながらじっと眺めていた。