《大.落》♥ やらかしちまって!〜眠り姫★
一子と視線がぶつかっている。
ーーー確かに、歩を通り越して俺を見てる。なんだ、気にしてくれてるのか?
遠くからでも嬉しさを表現したくて、秀馬は一子に笑顔を向けた。
ーーー俺もあんたを見てる。あんただけを。
すぐに邪魔が入ってしまった。長峰仁美だ。
「秀馬さぁん、1人にしないでよ。仁美寂しかったぁ」
仁美が一子へ向けていた視線の前に入ってきて視界を遮り、挙句に体にまとわりついてくる。
「じゃあ、邪魔者は消えるよ」
新宿店の店長が変に気を回したせいで、仁美と2人になってしまっていた。
仁美は、綺麗だ。芸能人だから。万人受けする美人には違いない。だが……
ーーー俺が求めるものを持っているのは長峰仁美じゃない。俺が今一緒にいたいのは……。
「秀馬さん、いい加減に落ちてよ」
仁美に後頭部に手をまわされ、無理に押し付けられた唇。
呆気にとられていた。
ーーーここまでする女だとは思わなかった。いや、考えてみれば特定の男がいるのに俺を誘うような女だ。人前でキスする位なんともないに違いない。