《大.落》♥ やらかしちまって!〜眠り姫★
★ほし
★ほし
走ってタクシーを捕まえ、辿り着いたのは秀馬のマンションだった。
行くところが思い浮かばずに仕方なく選択してしまった。
ーーー下心は無い。たぶん……他に行くあてがなかっただけだ。そう、彼女に手は出さない。……と思う。
ブツブツ念仏を唱えるようにして靴を脱ぐ秀馬。
「お邪魔します……わあ〜素敵!」
秀馬のマンションに入るなり、歓声を上げる一子。
リビングからバルコニーへ続く大きな窓ガラスへ寄っていく一子。
「真田さん、ちょっと出てみてもいいですか?」
子供みたいにはしゃぐ一子は、秀馬を振り返る。
「ああ、どうぞ」
窓の鍵を開けてやると、雪は小降りになったものの寒い風が吹きこんでくる。
「うわーすごいすごい」バルコニーへ置いてあった男物のサンダルを履いて夜景や空を見上げる一子。
「寒いだろう?」
続いて、秀馬もバルコニーに出ていく。
柵に手をついて身を乗り出す一子が危なっかしくて、笑ってはいたが内心ヒヤヒヤものだった。
ーーー落ちたりしないだろうな。こいつ。