《大.落》♥ やらかしちまって!〜眠り姫★
流れ星に願いを託す。
子供の時には、そんな伝説めいたものを信じていた。
一子を無事に送り届けたあと、窓から空を見上げた。
やはり、星は見えない。
ーーー今、流れ星が流れたら間違いなく俺は手を合わせるだろう。そして、願いを3回早口で唱える。
そんなロマンチックで恥ずかしい事も今なら堂々と出来る。
秀馬は、キッチンへ行くと先ほど一子が使ったマグカップを手にした。
ーーー親父さん、怒ってないといいけどな。しかし、強面の親父さんだったな。フード取ったら坊主だったし。
一子の話では、長距離運転手だという親父さん。仕事のせいで、たまにしか家に帰って来ないという。
しかも、いつもは優しいお父さんだと一子は話していたし、「あんなに怒ってるのは、初めて見た」とも言っていた。
ーーーつまり、俺のことが相当気にくわないのだろう。そりゃそうか。娘に手を出してるところを見たんだからな……。
気になって、一子にメールをしてみた。
幸いにもすぐに返ってきた返事。
だが、短い文章は秀馬を不安な気持ちにさせた。
『ごめんなさい。しばらく会えないかも』
ーーーなんで! しばらくっていつまでだよ。
秀馬は、スマホを持ったまま呆然としているしかなかった。