《大.落》♥ やらかしちまって!〜眠り姫★

流れ星に願いを託す。
子供の時には、そんな伝説めいたものを信じていた。

一子を無事に送り届けたあと、窓から空を見上げた。
やはり、星は見えない。


ーーー今、流れ星が流れたら間違いなく俺は手を合わせるだろう。そして、願いを3回早口で唱える。


そんなロマンチックで恥ずかしい事も今なら堂々と出来る。

秀馬は、キッチンへ行くと先ほど一子が使ったマグカップを手にした。

ーーー親父さん、怒ってないといいけどな。しかし、強面の親父さんだったな。フード取ったら坊主だったし。


一子の話では、長距離運転手だという親父さん。仕事のせいで、たまにしか家に帰って来ないという。
しかも、いつもは優しいお父さんだと一子は話していたし、「あんなに怒ってるのは、初めて見た」とも言っていた。


ーーーつまり、俺のことが相当気にくわないのだろう。そりゃそうか。娘に手を出してるところを見たんだからな……。


気になって、一子にメールをしてみた。

幸いにもすぐに返ってきた返事。
だが、短い文章は秀馬を不安な気持ちにさせた。

『ごめんなさい。しばらく会えないかも』

ーーーなんで! しばらくっていつまでだよ。

秀馬は、スマホを持ったまま呆然としているしかなかった。
< 279 / 342 >

この作品をシェア

pagetop