《大.落》♥ やらかしちまって!〜眠り姫★
その後、村山父は頭を剃り終わるまで無言だった。
シャンプー台に行き、お湯で流してタオルで拭く。
鏡の前に戻り「化粧水を宜しければおつけしましょうか?」と尋ねると黙って頷く村山父。
ーーー無言だな。黙られるとかえって、色々考えてそうで怖いな。
ピシャピシャとトロミのある化粧水を軽くつけ巻いていたタオルとクロスを外した。
鏡を持ってきて合わせ鏡で後ろも見せる。
じっと、鏡を見ていた村山父がようやく口を開いた。
「あんた、剃るのうまいな。床屋でも結構、流血させられるもんだが、血が出なかった。それに……」
鏡の中を通してではなく、秀馬を直に見上げる村山父。
「坊主には、髭剃り用ローションとかはまずいってわかってんだなぁ。あんた」
秀馬は頷いた。
「ヒリヒリしますし……毛詰まりの危険もありますよね? だから、化粧水がベストかと」
椅子から立ち上がり、村山父は秀馬を見上げた。