《大.落》♥ やらかしちまって!〜眠り姫★
高級な料理は、どれも美味しかった。
ーーーだけど、量がね〜。
物足りない量だった。
ーーー普通の女性なら、お腹いっぱいになるんだろうか?
一子は、どうにか水を飲む事でお腹を満たしていた。おかげでデザートが運ばれてくる頃には、すっかりお腹がチャポンチャポンいうほどになっていた。
「一子、お腹いっぱいになったか?」
「はい、もちろん」
「本当かなぁ〜。足りないなら、ここ出たら長崎チャンポンでも食べに行くか?」
ーーーチャポンチャポンのお腹で長崎チャンポン。なんだか変な駄洒落みたい。真田さんにお腹の音が聞こえてんのかなぁ?
「……大丈夫です。私だっていつも大食いじゃありませんから」
「へー、たまになのか大食いは」
どこか信用していない感じの秀馬。
音もなく現れたウエイターが、失礼しますと言いながらデザートのお皿を運んできた。
「La Bûche de Noël (ビュッシュ・ド・ノエル)でございます」
目の前に置かれた真っ白なお皿には薪の形をしたケーキが置かれていた。フランス人には定番のクリスマスデザートだ。
「新年の幸運を祈って家族で食べるケーキらしいぞ。コレ」
フォークを手にする秀馬。
「へぇ、素敵。物知りですね、真田さん」
「麻耶に教えてもらった。彼女は、フランス通だから」
「……」
急に黙り込む一子。
ーーー新谷麻耶さんかぁ。
写真週刊誌の写真を思い出してしまう。