《大.落》♥ やらかしちまって!〜眠り姫★
「どうした? 一子」
「いえ、大丈夫です」
「そう?」
ケーキを口に運ぶ秀馬を見つめた。
ーーー新谷麻耶さんは、きっとハグしたら折れそうに細いんだろうなぁ。それに比べて、私なんか贅肉たっぷりでプニプニだもんね。
「真田さんは、やはり痩せてる人が好きですか?」
「いや、とくに」
「真田さんは、どちらかといえば…幼児体型よりメリハリのある体のが好きですか?」
「体? おいおい、露骨だな。その質問」
赤い顔になる秀馬。それでも、秀馬の答えを待っている一子に視線を向けた。
「……俺もやっぱり男だからさ」
ーーーやっぱり、メリハリか。真田さんもその方がいいよね。そりゃそうか。
徐々に落ち込んでいく一子。
「抱きしめたら柔らかい方がいい。その点、一子はハグするだけでも柔らかいから……一子みたいのが好き。直に触るときっともっと柔らかそうだよな」
いたずらっ子みたいな笑みを浮かべる秀馬。
ーーー直に触る?! うわっ、どうしよう。そんなこと……。
想像して恥ずかしくなる一子は、落ち着きをなくして、椅子の背もたれと背中の間に置いていた紙袋を床に落としてしまった。
紙袋から出てきた正方形の箱を拾い上げる秀馬。一子に手渡しながら
「一子、心配するな。麻耶は親友の彼女だから」と、優しく笑う。
ーーーいや、もう心配は、そのことじゃなくて……。
テンパリぎみの一子は、また喉が渇いて水を飲んだ。
「ところで一子、それなんだ?」
秀馬が紙袋から出てきた箱を指差す。