《大.落》♥ やらかしちまって!〜眠り姫★

「たださぁ、さっきの衝撃で一個割れてる」

一子が自分の働くアンティークショップから買ってきた例の小さな動物置き物シリーズがテーブルに並んでいた。

最後に秀馬が取り出した羊の置き物にはあいにく足が無かった。

「えぇ! 嘘!」
椅子から立ち、秀馬が手にしている包みを取り上げる。陶器の残骸がプチプチの中に残されていた。


「ごめんなさい。真田さん」
泣きそうになる一子の手をとり、椅子に座らせると秀馬が一子の額にキスをした。


「気にするな。形あるものは壊れるのが当たり前だ」


「でも」
開きかけた一子の唇に人差し指を当てる秀馬。

一子の横に立った秀馬は、ポケットから小さな箱を取り出して、一子の前で開けて見せた。
箱の中には、ピンクゴールドのハートをモチーフにしたネックレスが輝いていた。

「ウワァ…かわいい!」

「だろ? 気に入った?」

うんうんと首を縦に振る一子にさりげなく、そのネックレスをつけてくれた秀馬。
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