《大.落》♥ やらかしちまって!〜眠り姫★
街のイルミネーションを見ながら、ゆっくりと歩く。
「一子とこんな風に手を繋いだりするなんて、思ってもみなかったなぁ」
「私も……カリスマな人とこんな風に歩くとか想像してませんでした」
優しい秀馬の瞳が、イルミネーションのせいでキラキラと輝いてみえる。
「そろそろ時間だな。お姫様を家に送らないとな」
一子の手を強く握りながら、秀馬が残念そうに言う。
「真田さん、今日はありがとうございます」ぺこりと頭を下げる一子。
「一子、敬語無しにしようって言ったろ?」
「あ、そうでした。あっと違うか、えっと……そうじゃん?……あれなんか変」
無理に敬語を止めようとしたら、三津子みたいな話し方になっていた。
「まあ、いいや。だんだん直るだろう。あと、呼び方もな?」
ーーーそうだった。秀馬さんって呼ばないと。
「それも、徐々にでいいから」
「はい」
「あのさ、一子……元旦に、その……」言いにくそうな秀馬。
「?」
「は!」いいかけて言葉を切る秀馬。
「は?」一子は首を傾げた。
「初詣に行かないか?」
ーーーなんだ。初詣か。何が言いにくかったのかな?
「行きたい! 行く行く!」
元気よく答える一子。
「うん、どうせならさ、除夜の鐘聞いたら、朝そのまま行きたいよなぁと」
「いいね〜」行く気マンマンの一子。
すると、秀馬は首に手を当てて首の関節をポキポキと鳴らし始めた。
鳴らし終わると一子を見ずに空を見上げながら
「うん、まあ。あのさ……仕事も30日で終わりだし、大晦日の夜に俺の家に来て、除夜の鐘聞いて……元旦にゆっくり初詣行くのはどうかな? ね、眠かったら……そのぅ、一回仮眠してから、ゆっくりでもいいし」
秀馬の提案を頭の中でシュミレーションしてみた。
「あ〜大晦日の夜……眠かったら仮眠…えぇ?! 仮眠してゆっくり!!」
改めて一子は、秀馬の提案にビックリしていた。