《大.落》♥ やらかしちまって!〜眠り姫★
家まで一子を送り届け一子の父親に挨拶した秀馬。
「気をつけてね」
玄関の外まで秀馬を見送りに出た一子。
「大晦日の話は、まあ、ちょっと考えてみて」
小声で耳うちされた。
両手を大きく振り、家に入ってからしばし考えてみた。
ーーーちょっと考える? 何を?
ーーー初詣は、行きたい。真田さんと一緒に一年のお参りをしたい。
でも大晦日の夜から真田さんの家に一緒にいる?
元旦にゆっくり初詣? その前に仮眠? そ、それは! もしかしたら、もしかしなくても……ああなったりとか、こうなったりだとか! とにかく大変だ! 一大事!
一子は、秀馬と自分の姿を妄想してしまう自分を戒めるように頭を横にぶんぶんと振った。
ーーー私は、一体何を考えてるんだろう。全くどうかしてる。
いやらしいし、妄想が逞しくすぎる。
ただの年越しだ。深く考える方がおかしい!
父さんが寝てしまい、居間の炬燵には三津子と一子が入っていた。
「ねぇ、ね、一子姉、カリスマとは、もう? やっぱさ、あっちもカリスマな感じ?」
「三津子!」一子は、あまりにも下世話な三津子に手近にあったミカンを思い切り投げた。
「暴力! 反対!」
どんどん投げつけられるミカンを上手く受け取る三津子。
「黙って! 三津子。夢の余韻に浸らせてよ」
「余韻ねぇ、余韻に浸らせるほどに、あのおにいさんは、あっちもカリスマな訳かぁ……さすがカリスマ」
勝手に2人の間には何かあったと思い込んでいる三津子は置いておき、一子は炬燵の天板に顔をつけ、大晦日に秀馬と過ごすことについて、アレコレ考えていた。