《大.落》♥ やらかしちまって!〜眠り姫★
★いつわ
★いつわ
クリスマスが終わり、秀馬の周りで変わったことと言えば。
麻耶が記者会見を開いた。
正式にマッツンのことを世間に紹介したのだ。
aubuのバックルームに設置されたテレビには幸せそうな麻耶の顔が大きく映っていた。隣にいる耕三と視線を交わし笑顔を見せている。
「私のフィアンセで、美容院aubuの美容師です。来年からオープンするフランス支店の店長でもあります」と、テレビで会見をやらかしたから、aubu的には大宣伝になった。会見から、数日たつが未だにワイドショーや特番で取り上げられる話題だ。
元からフランスにaubuを出店させる話は出ていた。
秀馬は、これを機会にして全面的にフランス出店を耕三に任せることにしたのだ。
そうすれば、フランスで活躍する麻耶と耕三は再び遠距離にならなくてもよくなり、常に一緒にいられる。
ーーーまさに一石二鳥だな。
予約もビッシリ埋まり、連日店の前にも列が出来ていた。
「耕三さんフランスに行くんすかぁ。で、俺が川崎支店なんすね〜。納得っす」
バックルームに来た歩は、手にしてきたタオルを洗濯機に入れた。
「ああ、そういうこと。あの2人の口から最初に言わないと色々面倒だから、黙ってて悪かったな」
秀馬はパソコン画面から視線を上げて、歩に目配せした。
「いいっすよ、そんなのは。秀馬さんがスタッフみんなの事情とか〜いーろいろ考えてんの、わかってるつもりっすから。俺にも肩書きとやりがいくれたんすもん」